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It slowly ruins.

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□ Gleipnir/avalon □

avalon(デジ×ケータイ)

復活しました。
ご心配おかけしまして、お声をかけてくださった方々に心より感謝申し上げます。


それでも書くのは日曜日。
そして久しぶりのavalonです。



「あ、網島」
「太一?どうしたんだ」

あわてた様子の同級生は、そんな彼の声にぐっ、と手にしていたエコバック……それこそいっぱい詰まってる……を押し付けてきた。
目を丸くしながらも反射的に受け取ってしまったケイタだったが、だからといって事情を察したというわけではない。
むしろ混乱の度合いは増すばかりで目を白黒させていると、「わりぃ、部屋……、いやサロンの方においといてくれ!」と言われては目を見張った。サロンにおかれている食材はあくまでも「あまりもの」であり、どう考えても今日その分と思われる食材のつまった袋を置いておいても、欠食児童組すら戸惑うのは間違いない。
まぁあの人たちは、それでも食べるだろうけど。

「どっかいくのか?」
「あぁ。どっかいくんだ」

そういった太一は既に踵を返していた。
ほとんど同時に携帯を取り出している。どうやら連絡する相手がいるようだが……

「太一!」
「ちょっと後輩のサポート!ヤマトもいねーから!」
「はぁ、えっと、いってらっしゃい!」
「さんきゅ」

思わず場違いと分かっていても、送り出す言葉を気が付けば声を上げていた。
家では送られても、送ることはあまりなかった。母が専業主婦だったし、父親や妹との出勤や登校の時間には送り出す余裕が、着替えや身支度をしている自分には大概なかった。
それでもおかえり、という言葉は彼らに投げていたが、無事を祈るための言葉はいつも母親の仕事であったような気がする。
家を出て、桐原(と、2体のFB)と一緒にあのアパートに住むと、生活環境の違いのせいか誰にでも「いってらっしゃい」も「おかえり」が当たり前にあふれていて、だから今口にしたのも、いわば習慣である。
感謝の言葉という奇妙なものが却ってくるとは思わなかった。

与えられた言葉も原因に違いないが、まるで。

(戦いに赴くみたいじゃないか)

理屈にはならない思考にケイタは眉をひそめた。
まさか、そんな。ばかばかしい思考回路に息を吐く。
覚悟が必要な戦いなんて、非日常を日常としている自分だって中々鉢合わないというのに。

(まぁこっちの仕事は調査がメインなんだし)

エージェントとしてはまだ若輩者の自覚のあるケイタだが、だからこそ、今はそれなりに体を鍛えるようにしている。
住んでいる場所には同レベルからトンでもレベルまでそろっているから、その気がなくても引っ張られる部分も、もちろんあるのだが。
朝は体鍛えるのが趣味、みたいな連中がざわざわやっているのだ。よほど疲れていなければ走り込みくらいは参加している。

ただそれだけのことに、だがケイタは知らない。
様々な覚悟を抱え込んだ彼らに、実は自分が気が付いていることを。
自分が今とっさに放った「いってらっしゃい」がどれほど無事への祈りをはらんでいたのかということを。

「ケイタ」
「え?」

そして。

「妙な、おそらく違法電波だ。それを感知した。もしかしたらもう遅いかもしれないが、既に<ELIZA>には報告し、調査をするよう指示を受けてる」
「えぇええええ?!これ間違いなくサービス残業になるよね?!」
「場所はすぐそこだ。いくぞ」
「うぅうううううう、仕事好きな相棒め」
「存在意義だからな」

そんなささやかで、結果としてなんの役にも立たなく終わってしまったサービス残業が、奇妙な電波を残した裏路地が、実は自分自身の言葉の結果だったことを、ケイタは知ることはない。



・・・・・・・・・
ニアミス的な

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Date:2012/01/22
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